糖尿病のインスリン注入方法として、注射またはポンプが選択肢としてあります。現在、我が子が使っているポンプのメリット・デメリットを紹介します。注射かポンプか迷っている方の参考になればと思います。
使っているポンプとインスリンについて
我が子が使っているポンプは、Medtronic社「MiniMed 780G」とCGM(持続血糖測定器)を連動させて使っています。インスリンは、インスリン アスパルトBS注100単位/mL(サノフィ社)の一種類のみを使っています。

お尻にポンプとCGMの2つを装着しています。お尻に装着する理由は、2歳児の為、脂肪があり面積の大きい箇所がお尻か太ももくらいしかない為です。個人差がありますが、小学生になる頃には腕やお腹に装着できるようになるようです。いずれもペットボトルのキャップくらいの大きさです。
ポンプは3日に1回、交換しています。交換方法は、インスリンをポンプやチューブに充填して、注射針をサーターという装着補助器具にセットし、ボタンを押すと針が勢いよく飛びだして皮膚に装着されます。慣れると5分ほどで出来ます。お風呂やプールの時は、ポンプを体から外してキャップをすれば問題なく入れます。
CGMは1週間に1回、充電と交換をしています。交換方法はポンプと同じようにサーターを使っています。体から外した後に、1時間弱充電してから装着しています。CGMは防水なのでお風呂やプールはそのままで大丈夫です。
詳細はMedtronicのHPを確認ください。
→MedtronicのHPはこちら
メリット
インスリン注射は練習で10回ほど使ったことはありますが、日常的に使っているわけではないので、これから紹介するメリット・デメリットはポンプに偏った内容になっている可能性があります。また、自己インスリンの量や生活スタイルによっても変わるため、不明点があれば主治医に相談をおすすめします。
インスリンの最小単位は0.025U
インスリンペンの最小単位は0.5Uに対し、ポンプは0.025Uです。身体が小さく、必要なインスリン量が少ない子どもは0.1Uだけでも大きく血糖値が変化します。ちなみに私の感覚では0.1Uで20mg/dL変化します(あくまでも現在の2歳児我が子の場合です)。最小単位が小さい方が血糖コントロールがしやすいです。
(今まで最小単位0.1Uだと思っていたのですが、本記事のコメントで教えて頂きました!感謝です!)
基礎インスリンを入れられる
1日中微量の基礎インスリンを注入し続けられます。最小単位は0.025U/1時間です。我が子は超速効型インスリン一種のみを使っていますが、微量を注入し続けることで、持続型インスリンのような役割もしてくれます。ただ、持続型インスリンと異なり、時間によって基礎インスリン量を変えらるのがメリットです。成長ホルモンが出る時間帯には基礎インスリンを高く設定し、運動する時間帯は低血糖にならないよう基礎インスリンを切るということもでき、血糖値を安定させることができます。
夜間低血糖を防止できる
上記の基礎インスリンと被る内容ですが、実際に持続型インスリンを使うと(中間型や混合型も)、ものによりますが4-8時間ほど血糖降下作用が続いてしまいます。そのため夕方に打つと夜間低血糖の恐れがあります。
ポンプで超速効型インスリンを微量注入する場合、注入停止した後1.5時間以内には血糖降下作用はわずかになります。夜間の低血糖になる時間帯には基礎インスリンを切って、夜間低血糖を防ぐことができます。
いつでも何回でもインスリン注入できる
言わずもがなですが、毎回アルコール消毒する必要もなく、簡単にインスリン注入できます。なので旅行に行ったとき、食べ歩きもしやすいです。中華街のような人混みで注射は打ちづらいと思います。また、子どもの場合、おやつの必要があったり、出先でお菓子やジュースを飲ませたりすることもあります。すぐにインスリン注入できるので楽で血糖値も安定させやすいです。
個人的に、子どもにつまみ食いの楽しみも知って欲しいので、ちょっと食べてみる?、というのが簡単に出来るのが嬉しいです。インスリンペンでも出来ますが、空打ちしたり消毒したりと工程が多いと、ちょっと面倒だから辞めておくかとなってしまうので、少しでもインスリン注入のハードルが低くなるのは大きなメリットだと思います。
また、我が子の場合、インスリンを一度に注入すると、入れすぎた時に一気に下がって、補食が間に合わず低血糖になってしまう事があります。そんな時に、本来0.5単位入れるところを、まず0.3単位入れて、10分後に追加で0.2単位入れると、血糖降下がなだらかになり、様子を見ながら補食することができます。(注入速度を変える設定もあります)
いつでも何回でもインスリン注入できるので様々なシーンで自分に合った使い方が出来るのは嬉しいです。
その他
大きなメリットは上記ですが、他にもたくさんあります。一気に紹介します!
- 低血糖・高血糖アラームが鳴る。
我が子の場合、ポンプとCGMを連動させているので低血糖になった時はアラームで知らせてくれ、自動で基礎インスリンを切ってくれます。日常を過ごしているとつい血糖値の確認を忘れてしまうので、この機能には何度も助けられました。 - 糖質量を入力するだけでインスリンを注入してくれる。
食事する時は、糖質量を入力するだけで必要なインスリンを計算してくれます。(糖質/インスリン比はあらかじめ自分で設定する) - 一回のインスリン注入量の上限を設定できる。画面ロックができる。
誤操作防止できます。子どもが真似していじるので絶対必要です。
以上、ポンプのメリットをお伝えしましたが、参考までに下記に今までのHbA1cの結果を報告しています。ポンプを使って血糖コントロールしており、低血糖は1%でHbA1c6.2%でした。

デメリット
針が曲がったまま気付かない事がある
皮膚に装着するときに失敗し、針が曲がってしまい、インスリン注入できない事があるようです。ポンプ交換は食事の前に行い、いつも通りにインスリン注入しているのに血糖値400mg/dL以上になってしまった時は疑うように、と主治医に指導いただきました(自己インスリンの量による)。今までポンプに関しては失敗したことがないので、そんなに装着が難しいという事もないと思います。ちなみにCGMは10回に1回くらいは失敗しています。サーターのボタンを押したタイミングで子どもが動いたり、打った場所が悪くて血が出てしまったりといった感じです。
上記のようなポンプや装着時の不具合で、知らずに高血糖になってしまう事が怖いので、ポンプ使用する場合は血糖測定を頻繁に行うか、CGMを付けた方が良いと考えています。また、長時間の旅行の際はインスリンペンも持っていく事をおすすめします。
状況によってインスリンの効きが異なる
インスリンの効き目がなんか悪いな~という日があります。毎回、針を刺す箇所をずらしながらお尻に装着していますが、過去に刺したことがある箇所だと効き目が悪いようです。インスリンボールといい、数カ月で解消されるらしいですが、身体の小さい子どもは刺せる範囲が狭く、インスリンボールが出来やすいかもしれません。
また、飛行機に乗る時の気圧の変化で、インスリンが充填されているリザーバの中に気泡ができ、指定量のインスリンが入らず低血糖になってしまう恐れがあるとホームページに記載されていました。冬に暖房の前に居たりして、高温になってしまった時も同じ事が起こる可能性があります。常に血糖値を確認できるよう、ポンプを使う時はCGMと併用が良いのかなと思います。
肌荒れ
ポンプもCGMも、針を刺した部分をシールで肌に密着させているので、シールが大きく粘着力も強いため、きれいに剝がしてあげないと肌荒れしてしまいます。そのため皮膚用リムーバーを使っています。

また、針を刺した部分に跡が残ってしまっています。時間が経てば薄くなりますが、針を刺す頻度が多い為、常にお尻に注射跡があります。
装着時は痛いかも・・・
我が子に装着する時は、youtubeを見せながら気を逸らせますが、刺した瞬間は身じろぎします。まだちゃんと話せない子どもなので、実際の痛さは分かりませんが。痛点にあたると痛いという話も聞きます。エムラクリームという麻酔剤を処方してもらうと良いかもしれません。(我が子はクリームを塗ることも嫌がるため使っていません)
3日の1度の交換
インスリンポンプは3日の1度の交換です。慣れてくれば5分ほどで出来ますが、日常を過ごしているとかなり頻度が高いと感じます。たまに忘れてしまうことも…。日をまたぐ旅行のときは交換セットを持っていく必要があり、かさばります。
ポンプやチューブが邪魔になることも
本人は全然気にしていなそうですが、走っている時や寝る時にポンプが無ければもっと身軽だろうなと感じます。小さい子は特に、インスリンポンプが遊びの邪魔にならないようにポンプポーチを選んであげたいです。また、身体からポンプに伸びているチューブが家具やおもちゃに引っ掛かることがたまにあります。今まで外れた事はないですが、ヒヤッとします。

医療費が高くなる
医療費が高くなるようです。私たちはこども医療費助成制度のある地域に住んでいるので、有難いことに金銭の負担はなく、詳しい値段は分からないのですが、周りの声を聞くとやはり高いようです。
まとめ
私はポンプがある事でかなり生活の質が上がったと感じています。デメリットもありますが、それをはるかに上回るメリットがあります。特に成長の途中の子どもは血糖値に影響する要因が多く、予想外に血糖値が上下するので、柔軟にインスリン量を調節できるのは嬉しいです。ただ、ペン型を日常的に使っているわけではないので、ペン型のメリットもあるかと思います。主治医を相談の上、自分に合った方法を選択できると良いですね。
インスリンポンプも含め、糖尿病や周辺機器の研究開発を進めてくれている人々や企業がいることが有難く心強く思います。今後も研究開発が進められ、さらに糖尿病患者の平均寿命が延び、生活の質も上がる事を楽しみにしています!
コメント
我が子も使っています!
ボーラスも0.025単位刻みに設定できます!
うちは0.1で30以上下がるため、先生に相談したら設定変えてくれました。
やどかり父さん
初めまして、コメントありがとうございます。
0.025単位で出来るんですね!!!知らなかったです😲
有益な情報ありがとうございます。
より血糖コントロールしやすくなりそうです!