※血糖値コントロールの方法はインスリン製剤の種類や自己インスリン量によって異なります。インスリンの基礎や糖質比やボーラスタイミング等は主治医と相談してください。
1型糖尿病の2歳児の食事ですが、好き嫌いがあったり、食べてくれなかったり…想定外の事が多々あります。今回、血糖値急上昇と低血糖にならないように気を付けている事について紹介していきます。幼児だけでなく、大人の方にも参考になるかと思いますので、ぜひ読んで頂けたらと思います。
まず初めに!使っているインスリンの製品情報をよく読む
自分で使っているインスリンの製品名はすぐに言えますか?特性や副作用を把握していますか?
使用する際、医師や看護師から説明があったと思いますが、一度自分で調べてインスリンの製品情報をよく読んでみて下さい。
下記のリンクから、インスリン製剤一覧を確認してみてください。
→インスリン製剤の一覧はこちら(日本糖尿病協会のサイトより)
次に、使用しているインスリンを下記のサイトから検索してみてください。
添付文書に詳細な特性やインスリンの効果時間が記載してあります。
→医療用医薬品の情報検索はこちら(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のサイトより)
例えば、私の子どもはインスリン アスパルトBS注100単位/mL(サノフィ社)をポンプで使用しています。
ノボラピッド注100単位/mL(ノボノルディスクファーマ社)のバイオ後続品です。
添付文書を見ると、下記のように血糖降下作用について記載されています。
投与後、10分ほどで効果が見られはじめ、約70分で血糖値降下量が最大になります。私たちは、これをもとに、食事の順番やスピードを変え、なるべく血糖値が上下しないように心がけています。

血糖値に大きく影響する要因
血糖値上昇をなるべく抑えるために二つ意識していることがあります。
糖質、たんぱく質、脂質の順番
血糖値に影響するブドウ糖への変化率は糖質100%、たんぱく質50%、脂質10%です。
そして、図のように、同じタイミングで食べた時、糖質→たんぱく質→脂質の順番で血糖値に影響します。
脂質の多いカレーなどは後々血糖値が上がる事があります。

GI値
二つ目は、GI値(糖質の吸収度合)です。「GI値 一覧」で検索してみてください。小麦粉やイモ類はGI値が高く、確かにパンを食べると急激に血糖値が上昇し、250mg/dL以上になってしまう事が多々あり、コントロールが難しいです。そのため、我が家では、小麦後の変わりに米粉や全粒粉を使っています。
ただ、低血糖になりそうな時はあえてGI値の高いクッキーを食べさせたりしています。(緊急時はラムネの方がすぐに血糖値に反映されます。)
血糖値急上昇を抑えるために食事中に気を付けること
上記を踏まえ、食事中に気を付けている事を紹介します。血糖値コントロールの方法は自己インスリン量やインスリン製剤や生活習慣等によって大きく異なる為、あくまで私の経験談としてご覧ください。

私の中では食後の血糖値が、
180mg/dL以下→上出来!!
250mg/dL以下→う~ん、嫌だけどしょうがない…
250mg/dL以上→糖質計算間違ったか?お願い止まって!
300mg/dL以上→インスリンポンプ不具合?? という感覚です。
インスリンの投入タイミングを血糖値によって変える
通常はインスリン投入後に食事を開始しますが、食前の血糖値によって少し変えています。血糖値が高めの時は早めにインスリン投入して、血糖値が大体120mg/dL以下になるのを待ってから食事を開始します。逆に食前の血糖値が100mg/dL以下で低めの時は糖質を食べたのを確認してから、インスリンを投入しています。特に朝は血糖値が低めなのでまず二口程お米を食べさせています。
ただ、血糖値の値がいくつになったら、という判断は感覚的にその都度決めており、直近の血糖値の下がり幅が大きい時は120mg/dLを待たずに食べ始めます。また、待っても高血糖がなかなか下がらない時もありますが、子どもの生活サイクルを崩したくない為、諦めることもあります。その時は糖質を減らしたりし、「しっかり考えて、臨機応変に」を心がけています。
糖質が低いものから食べる
最初に話したように、我が子が使っているインスリンの効果は60-70分後に最大になります。そのインスリンの効果の最大値に、高糖質・高GI値の血糖上昇ピークが当たるように食べるのが理想です。とはいっても、子どもは好きなものから食べてしまいますので、食べて欲しい順番におかずを出しています。
最初は葉物野菜を!柔らかいとすぐに食べきってしまうので、ある程度歯ごたえのあるものを作っています。例えば、キャベツを茹でたものを、糖質の低い卵でとじたり、マヨネーズと和えたりしています。葉物に限らず、トマトやアボカドでも良いと思います。時間稼ぎができれば!汁物やキノコ類も最初に食べています。
その次に、根菜類を!我が子はイモ類が好きで、特にさつまいもの塩バター炒めは100gなんてあっという間です(糖質30g/100g当たり)。イモ類をたくさん食べた時はお米の量を減らすようにしています。
最後にお米を!100gを基準に、その日のおかずによって50‐120gに変えています。魚や肉系のおかずと一緒に出しすことが多いですが、魚や肉は糖質が低いので順番はどこでも良いです。
通常はこの順番ですが、食べるのが遅く血糖値が下がりすぎていたら先にご飯を食べさせたりと調節しています。
おかずをちゃんと作るのが面倒になってしまった時は、野菜7:米3の比率のビビンバのような混ぜご飯を出しています。意外と血糖値爆上がりはしません。
ただ注意として、60分以内には食べきるようにしています。子どもの食欲がなくて、だらだら食べてしまい、60分を超えても殆ど糖質が残ってしまっていると低血糖の恐れがあるので、その時は残っている糖質分の加糖ヨーグルトや果物等を食べさせています。
インスリン投入、朝・昼はテキトウ!夜は慎重に・・・
食事の糖質計算ですが、最初は豚汁の具材を一つ一つすくって、測って、メモして・・・とやっていましたが、最近はご飯の量だけ図って、あとは目分量です。パッと見て大体このくらいかなと、インスリンを投入します。
食べ終わって血糖値が低すぎる・・・という時は追加でヨーグルト等を出しています。
血糖値上昇が止まらない!となった時は、朝・昼ごはんの場合は、臆せずインスリンを追加投入します。そうすると大体入れすぎて血糖値が下がってきてしまいますが、その頃には10時・3時のおやつなのでクッキーやいもけんぴ等の糖質が高めのおやつを食べさせます。逆に、血糖値が高めの時のおやつは卵豆腐や野菜チップスやお魚チップス等をあげています。
ちなみに、我が子の場合、朝食は血糖値が上がりやすい傾向があるので(おそらく空腹の時間が長い為)、糖質/インスリン比を昼・夕食の1.5倍にしています。
夕食の場合、夜中に低血糖は避けたいので、食後の血糖値が多少高くても目を瞑ります。その時は水を飲ませ、運動させて糖を消費させます。我が家はそのためにトランポリンを購入しました。手すりがついているので一人で遊んでくれて、室内で出来るのでとてもオススメです。

また、以前は食後の血糖値コントロールをしやすいように夕食の糖質を少な目にしていましたが、夜中に低血糖気味になることが気になっていました。夕食時に沢山食べたほうが夜間低血糖になりづらいようで、今は腹持ちの良い物を食べさせるようにしています。また、成長ホルモンの影響か、22時~23時頃に血糖値が急に上がることがありますが、基礎注入量をその時間帯に多く設定することで180mg/dL以下に抑えています。
幼児の場合は繊維質な物を与えない
豚の角煮をあげた時、繊維質な部分が飲み込めなかったようで、ずーっともぐもぐして時間がたってしまい、低血糖値アラームが鳴ってしまいました。吐き出させようにも嫌がって泣き、最後は指を突っ込んで取り出しました。言って素直に吐き出してくれるようになるまで、繊維質な物に気を付けたほうが良いかもしれません…。
うちの子はひき肉以外のお肉全般、ウインナーの皮、小松菜の葉の部分、水菜等が苦手です。一度機嫌が悪くなるとその後計画通りに食べさせるのも大変なので…。
子どもが食べないとき低血糖に備える
食べムラや好き嫌いがある子もいると思います。インスリン投入したのに食べてくれない時に、子どもが好きなものは必ず常備したほうが良いです。我が家はカップに入っている加糖ヨーグルトです。雪印の「牧場の朝」は糖質が1カップ10gなので便利です。あまりにも食べ残しが多い時は、ざっと糖質を計算してその分のヨーグルトを食べさせています。
まとめ
私なりの血糖コントロール方法を紹介してみましたが、同じものを食べても人によって血糖値の上がり方は違うらしいです。自分や子供に合ったコントロール方法を試行錯誤することが大事かと思います。
例えば、夜間の血糖値を上げるため、糖質が低く脂質が多いアボカドを夜ご飯に食べて改善するのか、GI値が低い全粒粉や、糖質OFFの食品は本当に血糖値を抑えられるのか…。思った通りの結果が出ると化学実験をしているようで達成感があります。
ただ、その日の体調や活動量に大きく左右されるので、なかなか比較検証は難しいかと思います。特に、日々成長していく子どもは血糖値に影響するパラメータ-が多く、血糖値が上がってしまった原因がわからないといったが多々あります。何度も繰り返して傾向をつかむしかないのかなと思います。
子どもの特性や好き嫌いを把握して、子どもだけの血糖コントロールプロフェッショナルになれるよう今後も試行錯誤していきたいです。
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